施設の仕事
京王バスには、本社や10を超える数の現場営業所があり、さらには京王バス単独の社宅も保有しています。これらの施設関係業務を一手に担うのが施設担当の役割です。
当社は100年以上前から事業運営しており、本社やバスの営業所は20年から30年に一度のスパンで建て替えやリノベーションを行ってきました。20年から30年とはいえ、建物の数が10を超えていますので、2年から3年に1度の間隔で建て替えやリノベーションの案件が入ってくることになります。建て替えやリノベーションにあたっては計画から設計、実際の工事まで含めると、少なく見積もっても3年以上の期間を要しますので、複数の案件を同時に進めていくことになります。
バスの営業所というのは非常にニッチな施設であり、実際に図面作成・施工を行う建設会社でも確たるノウハウというのは持っていません。そのため、特に計画・設計段階にあたっては当社が求める設備や営業所で働く社員の動線など、詳細にわたって建設会社に説明したうえで、新しい営業所を作り上げていく必要があります。その一方で、以前と同じ中身の営業所を作っても仕方がありませんので、そこで働く社員のモチベーションがあがるような、機能面やデザイン面での工夫などを盛り込んでいきます。そういった場面では建設会社の方の知見が非常に役立ちますし、また、同業他社の最近作られた営業所に足を運び、そこからアイディアをもらうといったことも行います。過去からの経験と新しい情報を組み合わせて、働く人にとってより良い営業所を作っていきます。バスの営業所は大きい所では300名近い社員が在籍し、バスの運行は深夜・早朝に及ぶことから営業所に泊まる社員も多くいます。社員の滞在時間は一般のオフィスに比べて、とても長くなりますので、少しでも多くの社員が居心地よくリラックスして過ごせる様、考え抜いた設計面での工夫が必要なのです。
また、建てたら終わりではなく、そこから今度は定期的なメンテナンスや修理対応が始まります。エアコンの修理から壁の塗り替えまで、大小さまざまな内容があり、案件量も多いのですが、営業所で働く社員に不便をかけないように、優先順位をつけてテンポよく対応していきます。もちろん現地調査が必要になりますので、あちこちの営業所に都度足を運びます。フットワークの良さがとても大切となる仕事です。
さて、バスの営業所敷地内に必須の設備として、燃料スタンドがあります。営業所には多い所では100台以上のバスが在籍しており、毎日1回は給油するので、その使用頻度は相当なもの。このスタンドについても施設担当の方で管理を行っています。ほとんどのバスは軽油を燃料としていますが、最近では水素電池を燃料としたバスなども出始めており、脱炭素化に向けたSDGsの取り組みが加速しています。そのような新しい社会の実現に向けて、当社でも自社水素ステーションの建設に向けた検討を行っております。時代の変化に向けた取り組みはどこの会社でも必須ですが、一見バス事業という変動要素の少ない事業を行っている様に見える当社でも、それは同様なのです。
直近では中野エリアに当社専用の社宅を建設し、2021年4月から入居開始となりました。最近では大型二種免許保持者が少なくなり、乗務員採用が年々困難になってきております。特に都心部では家賃が高く、ファミリータイプの住居を確保することの難しさも加わり、乗務員の応募が少なくなっていました。そういった事情に対応するため、都心部に2LDKのファミリータイプの社宅を建設し、安い賃料で提供することで乗務員の採用応募を活性化することを会社方針として決定しました。最新の高級賃貸マンション並みの仕様で建設したこの社宅は大変好評で、都心部への乗務員採用応募が以前に比べて格段に増えました。建設にあたっては、様々な家族構成を想定し、間取り面でのバリエーションを持たせたり、エントランスの高級感溢れる空間デザインなど、建設会社と協力して社宅の域を超える上質な住居を作り上げることが出来ました。この社宅は乗務員だけでなく、全社員が入居可能となっていますので、皆さんも入社したら入居を検討してみてくださいね。
さらには、当社独自のトピックとして、バスターミナル東京八重洲の運営を受注しました。これは当社が元々新宿西口高速バスターミナルを単独で運営しており、その後は日本最大の高速バスターミナルであるバスタ新宿でも立ち上げや運営において中心的な役割を果たした実績があることが評価され、受注に至ったものですが、八重洲ターミナルが今後段階的に開業を迎えていくにあたり、施設整備業務が本格化していきます。このような大規模施設に携われるのは、他のバス会社では絶対に経験できないことですし、他会社の開発部門としても稀なことでは無いでしょうか。これらのフィールドの広さとスケールの大きさ、その両方を兼ね備えた仕事に数名の担当で取り組んでいます。若いうちから誰よりも多くの経験を出来ることは間違いないことでしょう。あなたの挑戦を私達は待っています。